草津町議員である新井祥子さんが2020年12月6日に住民投票でリコールされたことが賛否を呼んでいます。
性被害を告発した群馬県草津町の新井祥子町議(51)の解職請求(リコール)の賛否が問われた住民投票が6日に行われ、町の有権者は「解職」を選んだ。
今回の一件は遡ると1019年11月の新井祥子さんの訴えを発端としていますが、そもそもこの1年で何が起こったのでしょうか?
また、新井祥子さんがリコールされたのはなぜなのでしょうか?
そもそもの事件の発端や経緯、また新井祥子さんがリコールされた理由についてまとめました。
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そもそも草津町議リコール騒動とは?
草津町議新井祥子が黒岩信忠町長からの性被害を告発

出典:産経新聞
事の発端は、2019年11月に発行された電子書籍『草津温泉 漆黒の闇』(飯塚玲児著)の中で、群馬県草津町の新井祥子議員が、黒岩信忠草津町長から性被害を受けたと告発したこと。
草津町議会は12人で、そのうち女性は新井祥子さんただ1人。
唯一の女性議員ということで肩身の狭い思いをされていたかと思いますが、性被害ともなれば犯罪です。
それから黒岩信忠町長と新井祥子議員が議会や裁判で長らく争うこととなりました。
[box02 title=”新井祥子の主張”]- 2015年1月8日に町長室で黒岩町長から肉体関係を強要された
- 告白したことは真実
- 裁判で明らかにする
新井祥子が黒岩信忠草津町長の不信任決議案を提出

出典:日本経済新聞
2019年12月の草津町議会では、新井祥子議員と別の議員の2人が町長の不信任決議案を提出しました。
しかし、草津町議会12名のなかで賛成は2。
否決となり、黒岩信忠町長は町長継続と決定しました。
黒岩信忠草津町長が新井祥子議員を除名処分に

出典:https://www.sankei.com/life/news/180423/lif1804230024-n1.html
新井祥子さんの訴えに対し、黒岩信忠草津町長は「性被害の事実はない」とし、新井祥子さんを刑事と民事で訴え5000万円を要求しました。
[box02 title=”黒岩信忠草津町長の主張”]- 「事実無根のでっち上げだ」と否定
- 「町長室のドアは開けてあり、副町長も同席していた。被害に遭ったというのなら証拠を出しなさい」と主張
さらにその後、草津町議会は新井祥子さんを「議会の品位を傷つける発言をした」と賛成10で除名処分にしたのです。
12の議員定数に対し、新井祥子さん側2名と、町長側の10名ではっきりと派閥が分かれてしまいました。
また、新井祥子議員を支援する唯一の議員も懲罰動議で辞職を勧告されるなど、草津町議会はその後も対立と混乱が続きました。
群馬県が新井祥子の処分を取り消し
草津町議会から除名処分となった新井祥子さんの処分を群馬県が取り消し、新井祥子さんは一度は議会に戻れました。
しかし改めて議会で議員辞職勧告を受け、さらに草津町議等が先導して2020年12月のリコールに繋がりました。
新井祥子のリコール決定
20120年12月6日、草津町で新井祥子議員に対するリコールの賛否が、住民投票で問われました。
結果は「解職に賛成」が有効投票の9割以上を占め、新井祥子さんは失職しました。
[box04 title=”新井祥子のリコール投票結果”]当日有権者数:5283人
投票率:53・66%
賛成:2542票
反対:208票
草津町議員新井祥子がリコールされた理由は?
新井祥子側に証拠がなかった

出典:Yahoo!ニュース
新井祥子議員がリコールされた理由の1つは、新井祥子議員側に性被害の証拠がなかったことも理由の1つと考えられます。
黒岩信忠町長は町長室は常に開けていると主張しており、時間的にも性暴力することは不可能と主張していました。
時間的に性暴力は不可能という黒岩信忠町長の主張を草津町民たちが信じていたのだということが、2020年12月3日のAERAで、草津町議会を傍聴した女性記者の感想からもわかります。
傍聴席は殺気だっていた。70代くらいの男性たちが前列に座る私たちの背後から、「こっちにだって選ぶ権利あるんだよ」「誰があんな女と」「犬だってしねぇよ」と声を浴びせたり、「(性被害が)本当なら(時間的に)町長はニワトリだ」と盛り上がったりもしていた。ニワトリの意味は、すぐ射精するとのことらしい。コケッコッコーと言っては笑っていた。
性被害では証拠が出せないことも当然あるはず。
2020年12月6日の住民投票では、そのあたりの事情も軽視されていると感じます。
町長は「最近は女は被害者、男は加害者という風潮がある」と議会で話していた。私との会話の中でもそう語っていた。その風潮を新井議員が利用しているという主張だ。「私に犯されたなら証拠だしなさい」といら立つように新井議員に迫ってもいた。そういう町長に同調するように傍聴席でも「女が被害を受けたといえばそれでいいのか」と吐き捨てる男性の姿もあった。
黒岩信忠町長が信頼された
言い分が真っ向から対立する、黒岩信忠町長と新井祥子さん。
そのため今回リコールの選挙は、「どっちの言い分を信頼するか」というリコール選挙となりました。
新井祥子さんは、今までに坊主頭にするなど破天荒な言動で注目を集めることもあり、有権者からは「言動が嘘っぽい」と言われることもしばしば。
男性だけでなく、女性からも新井祥子さんの言動は理解できないこともあったようです。
そのため、今までに観光産業などで実績を残してきた黒岩信忠町長側を信頼したという草津住民も多そうです。
騒動を早く丸く収めたかった

出典:https://www.jalan.net/news/article/425855/
草津町は有数の温泉地で、観光業が街の主な産業です。
そのため、コロナ禍で街の経済は大打撃。生活に苦しんでいる方も多くいらっしゃることでしょう。
そのコロナ禍に加えて「町長の性暴力」の評判が大事になってしまったら、草津町としても大きな風評被害となります。
「早く騒動を丸く収めたい」という草津町民の気持ちが、権力者への同意という形に現れたのかもしれません。
草津町議会主導のリコールゴリ押し

出典:https://news.yahoo.co.jp/articles/dd949f8ef142ba996f362f990583c350a037de09?page=2
2020年12月6日の新井祥子議員のリコール投票には、「新井祥子の解職を求める会 代表 黒岩卓」の名前でポスターが作成され、議会主導で草津町民に投票が呼びかけられました。
解職請求(リコール)を主導したのは黒岩卓議長をはじめ多くの町議らだ。住民投票実施を求めた署名活動には200人以上の町民が加わり、2週間余りで有権者数の6割超の署名を集めた。黒岩信忠町長も運動に参加し、町の主流派が結束した“組織選挙”の様相を呈した。
本来であれば、リコールは住民主体で、住民が町長や議員に不信任がある場合に行われるもの。
しかし今回の草津の一件は、現職の町議等が町民にリコール投票を求めたというところも物議を醸しました。
ネットの反応は?
これ実際性被害があったか否かはしかるべき方法で調査されたりしかるべき場所で争われるべきことで、ヤベーのは「被害を訴えた人間を住民投票で排除した」ってとこなんだよね草津
— HYK(ひゃく) (@hyk_public) December 6, 2020
セクハラした男が訴えられたら「草津の名誉が傷つけられた」
日本の性犯罪男叩いたら「日本の名誉が傷つけられた」
男土地と同化しすぎ
土に帰ってほしい— 毒 (@mumuri7575) December 6, 2020
草津町議の話と草津温泉の話は分けてあげないと真面目に旅館運営してるこのタグは草津温泉で汗流して働いてる人がかわいそうだよ。#草津温泉には行かない
— 鰯太 (@Iwashi74683865) December 6, 2020