2022年2月12日、スキージャンプの男子個人ラージヒルで小林陵侑選手が銀メダルを獲得し、日本中大盛り上がりですね!
スーツ規定違反になってしまった高梨沙羅選手もラージヒルがあればリベンジできるのに…と思いますが、実はオリンピックでは女子にはラージヒルの種目がありません。
なぜ女子だけオリンピックにラージヒルの種目がないのでしょうか。
理由を調査しました。
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オリンピック種目に女子ラージヒルがない理由は?
そもそも北京五輪では、スキージャンプは以下の種目があります。
[box class=”box32″ title=”北京五輪のスキージャンプ種目”]
- 男子ノーマルヒル(個人)
- 男子ラージヒル(個人)
- 男子ラージヒル団体
- 女子ノーマルヒル(個人)
- 男女混合ノーマルヒル(団体)
[/box]
こうしてみると、男子は4種目あるのに対して女子が参加できるのは2種目だけなのですね!
なぜ女子にはラージヒル種目がないのか不思議に思われますが、以下のような理由がありました。
女子には危険だから
オリンピック種目に女子のラージヒルがない理由はズバリ、「女子には危ないから」。
テレビではスキージャンプ選手は軽々とジャンプしているように見えますが、実際に滑っているのはこんな傾斜&長さなんです。
テレビで見るより、ジャンプ台の坂はかなり急で長いですよね…!
こんなスキージャンプ台を滑って助走するんですから、飛んでいる間は相当な空気抵抗を受け続けることになります。
[box class=”box32″ title=”スキージャンプ時の体負担”]
- ジャンプ中の速度は「最大120キロ」
- 落ち続けるのは「約5秒間」
[/box]
これほどのジャンプ中の速度120キロというのは、台風の暴風を身体全部で受け止めるような感覚だそう。
とてもじゃないですが、普通の人なら耐えられませんね…!
そしてヒルサイズが大きくなればなるほど滞空時間が長くなり、かつ風や雪などの自然環境の影響を受けやすくなるのだとか。
ノーマルヒルでさえ空気抵抗が強いのに、ラージヒルでさらにジャンプ台が大きくなったら体重が軽い女子選手は飛びすぎになったり、落ち続ける時間が長くなったりと、男子選手よりも身体への負担が大きすぎます。
そのため、ラージヒルで女性が怪我するのを防ぐためにオリンピックではラージヒル競技を作っていないのですね。
ラージヒル参加の女子選手が少ないから
オリンピックでは女子は危ないからと言う理由で女子ラージヒルの種目はありませんが、しかし、ワールドカップでは女子ラージヒルの種目があるんです!
危険と言えど、ラージヒルを飛べる女子はいるんですよね…!
高梨沙羅選手もラージヒルを飛べる女子選手の1人ですが、女子でラージヒルまで飛べる選手は限られます。
女子のラージヒル種目を設けたとしても参加選手が少ないため、特定の人だけメダルを取ったり、そもそも人数が少ない競技だから観戦していて面白くない…という問題が出てきてしまいます。
そのため、オリンピックでは女子ラージヒル種目がないのですね。
スキージャンプ女子自体が新しい種目だから
実はオリンピックにおいて「スキージャンプ女子」という種目自体が新しい競技。
女子スキージャンプがオリンピック種目に正式採用されたのは2014年のロシア・ソチオリンピックからなので、オリンピック委員会(IOC)としては歴史の浅いスポーツ種目なのですね。
ちなみに男子スキージャンプ種目は、1924年にシャモニーで開催された第1回冬季オリンピックからあり、その時は男子ラージヒルの1種目のみでした。
その後ノーマルヒルが追加されて…と種目が増えてきた歴史があるのですね。
[box class=”box32″ title=”オリンピックにおけるスキージャンプの歴史”]
1924年 「男子ラージヒル」種目が採用(第1回冬季五輪のシャモニー大会)
1964年 「男子ノーマルヒル」種目が追加(インスブルック大会)
1988年 「男子ラージヒル団体」種目が追加(カルガリー大会)
2014年 「女子ノーマルヒル」追加(ソチ大会)
2022年 「混合団体」追加(北京大会)
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そのため、スキージャンプ女子の種目としてはIOCも様子見…なところがあると思います。
今後スキージャンプの女子選手が増えたり人気種目として観戦者が増えたりすれば、男子スキージャンプの種目が時代と共に増えてきたように、オリンピックでも女子ラージヒルという種目が出来るかもしれませんね!
ノーマルヒルとラージヒルの違いは?
昔は「70m級」「90m級」と呼ばれていた、ノーマルヒルとラージヒル。
具体的にはどんな違いがあるのでしょうか。
詳しく見て行きましょう。
ヒルサイズ
ノーマルヒルとラージヒルは、まずヒルサイズが異なります。
スキージャンプするための助走をつける距離で、ノーマルヒルとラージヒルで以下のように距離の違いがあります。
[box class=”box32″ title=”ヒルサイズ”]
- ノーマルヒル 85~109m
- ラージヒル 110~184m
[/box]
ちなみにヒルサイズが「85~109m」となっているのは、その時の天候等によってスタートバーの位置が変更されるから。
スキージャンプの選手が最初に座っている、あのスタート地点のことをスタートバーと言いますが、実は移動式なんです。
飛びすぎて選手が怪我をしたりしないように、競技運営委員が各ラウンドごとにヒルサイズを微調整しているんですね。
K点までの距離
ラージヒルとノーマルヒルでは、K点までの距離が違います。
K点とは飛距離点の基準距離のことで、実際の会場では赤いスプレーなどで印がつけられていますが、このK点を基準に1mごとにポイントが加算されていきます。
[box class=”box32″ title=”K点までの距離”]
- ノーマルヒル 75~95m
- ラージヒル 105~125m
[/box]
ヒルサイズが異なれば、K点が異なるのも当然ですね!